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宗教的輸⾎拒否に関するガイドライン
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宗教的輸⾎拒否に関するガイドライン

はじめに

 済生会西条病院では宗教上の理由による輸血拒否患者への当院の対応方針を2004年作成のガイドラインで示しましたが、 その後の我が国および当院の医療状況の変化を踏まえ、この度、当院の対応方針を倫理委員会および医局で再検討致しました。
 患者の意思を尊重し、いかなる事態になっても輸血をしない「絶対的無輸血」にするか、 輸血以外に救命手段のない事態に至った時には輸血をする「相対的無輸血」にするか議論を重ねましたが、診療科で対応方針が異なり、今回は、統一した対応方針を定めず、 各診療科に対応方針を委ねることになりました。
 対応方針には「絶対的無輸血を含めて対応」と「相対的無輸血で対応」があり、この二つのガイドラインを下記に示します。 また、各科の対応方針は院内に掲示しております。

平成31年4月11日
済生会西条病院長 岡田 眞一

Ⅰ.絶対的無輸血を含めて対応

 宗教上の理由などで輸血療法を拒否する患者に対しては、輸血療法の必要性と副作用を十分に説明し理解を求め、その結果、 輸血療法の同意が得られた場合は通常の診療を実施し、同意が得られない場合は、 宗教的輸血拒否に関する合同委員会が定めた「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」に沿って、絶対的無輸血治療を含めて対処する。

1. 輸血実施に関する基本方針

 宗教上の理由などで輸血療法を拒否する患者に対しては、輸血療法の必要性と副作用を十分に説明し理解を求め、 その結果、輸血療法の同意が得られた場合は通常の診療を実施し、同意が得られない場合は、 宗教的輸血拒否に関する合同委員会が定めた「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」に沿って、絶対的無輸血治療を含めて対処する。

2.対応方針

 輸血治療が必要となる可能性がある患者について、18 歳以上、15 歳以上18 歳未満、15 歳未満の場合に分けて、医療に関する判断能力と親権者の態度に応じた対応を定めた( 図1 参照)。
1)当事者が18 歳以上で医療に関する判断能力がある人の場合(なお、医療に関する判断能力は主治医を含めた複数の医師によって評価する)
(1) 医療側が無輸血治療を最後まで貫く場合
 当事者は、医療側に本人署名の「免責証明書」( 様式1)を提出する。
(2) 医療側は無輸血治療が難しいと判断した場合
 医療側は、当事者に早めに転院を勧告する。
2)当事者が18 歳未満、または医療に関する判断能力がないと判断される場合
(1) 当事者が15 歳以上で医療に関する判断能力がある場合
① 親権者は輸血を拒否するが、当事者が輸血を希望する場合
 当事者は輸血同意書を提出する。
② 親権者は輸血を希望するが、当事者が輸血を拒否する場合
 医療側は、なるべく無輸血治療を行うが、最終的に必要な場合には輸血を行う。親権者から輸血同意書を提出してもらう。
③ 親権者と当事者の両者が輸血拒否する場合
 18 歳以上に準ずる。
(2) 親権者が拒否するが、当事者が15 歳未満、または医療に関する判断能力がない場合
① 親権者の双方が拒否する場合
 医療側は、親権者の理解を得られるように努力し、なるべく無輸血治療を行うが、最終的に輸血が必要になれば、輸血を行う。 親権者の同意が全く得られず、むしろ治療行為が阻害されるような状況においては、児童相談所に虐待通告し、児童相談所で一時保護の上、児童相談所から親権喪失を申し立て、 あわせて親権者の職務停止の処分を受け、親権代行者の同意により輸血を行う。
② 親権者の一方が輸血に同意し、他方が拒否する場合
 親権者の双方の同意を得るよう努力するが、緊急を要する場合などには、輸血を希望する親権者の同意に基づいて輸血を行う。

 輸血同意書・免責証明書のフローチャート

 当事者と親権者が輸血同意、拒否の場合に医療側が行うべき手順のフローチャートを 図1に示す。また、輸血拒否と免責に関する証明書の例を( 様式1)に示す。

参考資料:
宗教的輸血拒否に関するガイドライン
宗教的輸血拒否に関する合同委員会報告(2008年2月28日)

II.相対的無輸血で対応

1.基本方針

宗教上の理由などで輸血療法を拒否する患者に対しては、患者の権利を尊重し輸血以外の最善の治療を行う様に努力するが、 “輸血以外に救命手段がない場合には輸血を行う”こと(相対的無輸血)を原則とする。 なお、この立場は、患者が判断能力の無い場合、また18歳以下の場合にも適応される。

2.対応方針

(1) 患者および家族(当事者)へのインフォームド・コンセントにあたっては、「輸血以外に救命手段がない場合には輸血を行う」との立場を明示する。
(2) 医療側は、無輸血治療が難しいと判断した場合には、当事者に早めに転院を勧める。
(3) 輸血が必要な緊急時には、当事者の承諾が得られない場合にも輸血を行う。
(4) 輸血の実施に当たっては、通常の「輸血に関する説明書」に基づき説明し、患者あるいは家族から、「輸血に関する承諾書」を得るように努める。
(5) 無輸血治療に対して医師に責任を問わないとする「免責証明書」には署名しない。
(6) 輸血療法を拒否する患者に輸血の必要性がある状況が発生した場合には、担当医師は複数の医師または医療従事者と輸血の妥当性・必要性を検討し、院長及び倫理委員会委員長に報告する。